新天地にて

4月からN県K町にて働き始めました。

面積約3000ha、人口1万4000人程度の小さな町です。

年間平均気温16℃、年間降水量2000mm程度と温暖多雨の比較的恵まれた気象条件、

南は大きな湾に面し、東側にはマッターホルンかの如くとんがり帽子の山がそびえ立っています。また、町の真ん中には立派な川が流れ、自然豊かな町です。

海沿いの平地部にはスーパーやドラッグストア、ホームセンター等が集結し、生活には特段困りません。(本屋さんが無いのは残念だけど)

 

自然豊かな町ではあるものの、農業が主産業というわけではありません。

農用地は420ha(総面積の約15%)、森林・原野は1777ha(約63%)と、

日本全体とこの比率はほぼ同じです。大して農用地が多くはありません。

また、1人当たりの耕作面積は0.9haと、都府県平均が2ha超の中、その半分未満の状況です。

その背景にあるのは、

・この町がいわゆる「中山間地域」であり、農地集積が難しいこと

・大規模化が難しいゆえ、農業だけでは生活できず、兼業農家が増加していること

この2点だろうと思います。

 

実際、1ha(1ha=100a=10000㎡)で米を生産しても、

単収(10a当たりの基準収量):500kg程度

単価:16000円程度/玄米60kg ⇒ 266円/kg

くらいなので、1haだと130万円くらいの収入しか見込めないのです。

ここから、機械、肥料など諸々の経費が引かれると…これだけでは生活が厳しいですね。

 

すでに農地の75%は圃場整備が終了しているとのことですが、それでこの小規模さはこの先悩ましいところです。

 

という具合に小規模農家が多いこの町では、認定農業者数も少なく、

全国約24万経営体、県内でも5000万以上いる中、

この町の認定農業者数は40人程度です。

 

どのような切り口でこの町の農業を維持していくか。

もっと実情をみつつ、農業の勉強しつつ考えていきたいと思います。

 

 

現時点で、ちょっと気になるのが、

地産地消されていないこと

・自分たちの町の生産物か分からなくなってしまうこと

この2点。

 

良い農畜産物は、農協や食肉センターに運ばれ、そのまま大消費地に出荷されます。

アスパラの生産地なのにスーパーに並ぶのは近隣県のもの。

生鮮市場に行けば地元野菜が買えますが、それらは規格外品。

だから、自分たちの町の良い農畜産物を町人はなかなか出会えません。ちょっと寂しい。

 

また、小さな町では、農協の選果場は近隣の町と共同です。トマトは「○○トマト」とブランド化され、他のトマトと混ざることはありませんが、アスパラはブランドがなく、選果場でどれが自分の町のアスパラか分からなくなります。「自分たちの町で作られたアスパラ!」と認識できれば良いのですが・・・。

 

はやく農家さんのもとへお邪魔しに行きたいものです。